多くの人々がオーディブルを利用している中で、「頭に入らない」「聴いた内容が記憶に残らない」という声がしばしば聞かれます。
この現象は、オーディブルを含むオーディオブックの最大のメリットである「ながら聴き」が、実は聴き手にとっての難題にもなっていることに起因しています。
脳が一度に処理できる情報には限界があり、複数のタスクを同時にこなそうとすると、その効率は大幅に低下します。これは「認知の負荷」と呼ばれ、聴覚情報の処理能力もこの限界の影響を受けます。
ここでは、オーディオブックが頭に入ってこない理由と、それに対する対策についてご紹介します。
なぜaudible(オーディブル)は頭に入ってこないと言われるのか?
オーディブルに限らず、YouTubeやテレビ番組を視聴する際にも、他の作業(仕事や勉強など)を行いながらそれらのメディアに耳を傾けていると、後になってその内容がほとんど、または全く記憶に残っていない事に気づくという経験がある方は多いと思います。
耳からの情報が頭に入ってこない現象、特に他のことに集中している時に発生するこの現象は、「認知の負荷」、「注意の分散」、「選択的注意」という心理学の概念を通じて理解できます。
- 認知の負荷
- 注意の分散
- 選択的注意
認知の負荷について
認知の負荷とは、特定の認知活動を行う際に脳が扱う情報の量や難易度を指します。
複数のタスクを同時に行うと、脳の処理能力が限界に達しやすくなり、結果としていずれか、または両方のタスクのパフォーマンスが低下します。
例えば、オーディオブックを聞きながらメールの返信をするような場合、脳は言語処理に関連する情報を同時に処理しようとするため、認知の負荷が高まります。これが高まると、情報の理解や記憶に影響を与え、結果としてオーディオブックの内容が頭に入りにくくなります。
注意の分散について
注意の分散は、複数の刺激やタスクに同時に注意を払う必要がある状況で起こります。
人間の注意は限られたリソースであり、複数の方向に同時に分散させると、各タスクに割り当てられる注意の量が減少します。
このため、オーディオブックの内容を深く理解するために必要な集中力が削がれ、他の作業にも影響が及びます。
注意が分散すると、どちらのタスクも最大限に効率的に処理することが難しくなります。
選択的注意について
選択的注意は、人が周囲の情報の中から特定の情報に焦点を当て、他の情報を無視する能力です。このプロセスは、重要と判断された情報を処理するために、無関係な情報を遮断します。
しかし、複数のタスクを同時にこなす場合、どの情報が最も重要であるかを選択し続けることが難しくなります。
オーディオブックを聞きながら他の作業をしている時、脳はどちらの情報に優先的に注意を向けるべきかを判断しなければならず、その結果、一方または両方の情報が適切に処理されないことがあります。
【結論】オーディブルが頭に入らない原因はマルチタスク処理能力に原因がある
他の作業をしながらオーディオブックを聴くと、情報が頭に入りにくい現象の背景には「認知の負荷」、「注意の分散」、「選択的注意」といった心理学的プロセスがあります。
認知の負荷の増加、注意の分散、そして選択的注意の難しさが相まって、マルチタスキング時の情報処理能力を低下させるのです。
audibleは向き不向きがある?マルチタスクの限界は個人差がある
人間はマルチタスクが得意だと思われがちですが、実際には複数のタスクを同時に効率的に処理することは難しいです。
また、複数のタスクを同時にこなす能力には、人によって大きな違いがあります。この能力には性別、年齢、個人の能力など多くの要因が影響を与えています。
性別の違い
一般的に、性別によるマルチタスク能力の差については様々な研究がありますが、結果は一貫していません。いくつかの研究では、女性が男性よりもマルチタスクに優れていると示唆されていますが、これは文化的な役割や社会的な期待によるものかもしれません。
女性が日常生活でマルチタスキングをこなす機会が多いため、その能力が向上する可能性があります。しかし、他の研究では性別による顕著な差は見られず、個人差がより大きな役割を果たしていることを示唆しています。
年齢の違い
年齢もマルチタスク能力に影響を与える重要な要因です。
若い人々は一般に、情報処理速度が速く、新しいタスクを素早く学習し適応する能力が高いため、マルチタスクにおいても優れている傾向があります。
一方で、年齢が上がるにつれて、認知的な柔軟性や作業記憶の容量が低下することが知られており、これらはマルチタスクの能力を低下させる可能性があります。
しかし、経験や知識の蓄積は年齢と共に増え、特定のタスクではこれらがマルチタスクの効率を向上させることもあります。
個人差
性別や年齢に加え、個人の能力や性格もマルチタスク能力に大きく影響します。
例えば、注意力が高く、より良い認知的制御を持つ人々は、複数のタスクを同時に効率的に処理する能力が高い傾向があります。
また、マルチタスクに対する態度や自信もパフォーマンスに影響を及ぼすことが示されています。
自分のマルチタスク能力の限界を理解しよう
マルチタスクの限界を理解し、これを認識することは、日常生活や学習、仕事の効率を高める上で重要です。
複雑なタスクや学習活動においては、タスクに集中し、順番にこなすことで、情報の理解と記憶を最大化し、生産性と学習効果を高めることができます。
オーディオブックのように高度な認知活動を要するタスクでは、他の活動との同時進行は理解度の低下を招きます。したがって、情報を効果的に処理し、記憶に定着させるためには、一つのタスクに集中するシングルタスクのアプローチが推奨されます。
以下にその対策について紹介します。
audible(オーディブル)は頭に入らない?その対策について
オーディブルやオーディオブックが頭に入らないという問題に対して、以下のような対策方法を取ることができます。これらの方法は、聞き手の集中力を高め、情報をより効果的に理解し記憶するのに役立ちます。
- 負荷の軽い作業中に聴く、またはシングルタスクに集中する
- オーディオブックを聴くことに慣れる
- 再生速度を調整する
- 自分の興味や知識レベルにあったコンテンツを選択する
- 定期的な休憩をとる
負荷の軽い作業中に聴く、またはシングルタスクに集中する
ドライブやジョギングなど、負荷が比較的軽い活動をしている際にオーディオブックを聴くのは良い選択かもしれません。
これらの活動は自動的なプロセスが多く、意識的な集中をそれほど必要としないため、オーディオブックに集中しやすくなります。
また、こうした活動はリラックス効果もあるため、内容をより深く理解しやすくなる可能性があります。
それでも駄目なら、他の活動を止めて、オーディオブックの聴取に集中します。これにより、認知の負荷が減少し、注意が分散することなく、内容を深く理解することができます。
オーディオブックを聴くことに慣れる
例えば、ドライブをしながらオーディオブックを聴くといった特定のマルチタスクに慣れることで、同時に行う活動への認知的負荷が低減し、効率が向上します。
繰り返しマルチタスクを行うことで、脳は情報の処理方法を効率化し、複数のタスクをより効果的に管理できるようになります。これは、選択的注意の向上やマルチタスク時のストレス耐性の増加にもつながります。
再生速度を調整する
オーディオブックの再生速度を調整することで、自分の理解速度に合わせることができます。速すぎると理解が追いつかず、遅すぎると注意が散漫になることがあります。
自分の興味や知識レベルにあったコンテンツを選択する
自分の関心や既存の知識に適したオーディオブックを選択することは、集中力を高め、聴取体験をより豊かにすることにつながります。
興味を引くトピックやすでにある程度理解している分野のオーディオブックは、注意を引きやすく、聴いている間のエンゲージメントを保ちやすいです。
このような選択は、新しい情報を吸収しやすくし、同時に既知の知識を深める機会を提供します。
定期的な休憩を取る
長時間連続して聴くと集中力が低下します。適切に休憩を取ることで、注意力をリフレッシュし、続けて効果的に聴き続けることができます。
audible(オーディブル)は頭に入らない?まとめ
オーディオブックが頭に入らないという問題は、認知の負荷、注意の分散、選択的注意といった心理学的概念に起因することが多いです。
これらの問題に対処するためには、負荷の軽い作業中に聴く、またはシングルタスクに集中する、オーディオブックを聴くことに慣れる、再生速度を調整する、自分の興味や知識レベルにあったコンテンツを選択する、定期的な休憩をとる等の対策が有効です。
ドライブやジョギングなどの負荷の軽い活動中にオーディオブックを聴くことや、マルチタスクに慣れることによっても、より良い聴取体験が得られることが期待されます。
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